火入れがタチスミレを救う


 湿地のオギ群落に生育するタチスミレが、継続的に個体数を維持するためには、種子の発芽による更新が図られなければならない。その為にはオギ群落の草刈りや火入れなどの人為かく乱が必要条件となる。
オギ群落は放置しておくと数年で枯れた植物が地面に積もり、オギ以外の植物はほとんど生育できなくなってしまう(絶滅機種の増加につながる)他にもハナムグラやトネハナヤスリなどの植物も、人為かく乱依存型の植物とでも云うべき性質をもち、草刈りや火入れなどの人為かく乱がなくなると衰退して行く傾向にある。
また湿地以外の立地においても同様な事例が見られ、ススキ草原におけるキキョウやオミナエシ、雑木林の林床におけるキンランやリンドウなども、人為かく乱がなくなり自然遷移が進行すると衰退する植物と考えられている。
 これらの植物は、人の生活と深い関わりの中で生育場所を確保してきた植物であり、これらを守るためには、人間の積極的な保全活動が必要とおもわれる。
茨城県自然博物館 小幡和男氏研究冊子より抜粋
● 菅生沼のタチスミレ 2011年1月23日
 菅生沼はヨシやオギ、マコモなどのイネ科植物が優占する植物群落で覆われており、そのオギなどに寄り添うようにタチスミレがひっそりと生活を営んでいる。1998年迄、草刈りや火入れが行われていたが、ヨシやオギなどの屋根材需要が減少するに至り、その後放棄されタチスミレの個体数は衰退してしまった。2003年の調査時には僅かに15個体のみ発見されただけである。その年の1月からタチスミレの個体数増加をねらって、草刈りと火入れがはじまる。
 2003年の15個体から、2007年には2000個体以上にまで増加しているのが、調査で確認された。
菅生大橋下の集会場所 タチスミレ育成地 野焼き会場に向かう
会場には作業用道具がすでに準備されており手ぶらで参加しても良い
最初に延焼防止用の防火帯作りで枯れ草刈りを全員で開始
草刈りが終わった頃、岐阜大学の津田教授が菅生沼の野焼きについての注意事項と簡単なレクチャー
ジェットシューター担当の筑波大学チーム。 枯れたヨシやオぎは一気に炎が燃え上がりました
テープの区域はタチスミレの生育地です。 確認しながら作業は続きます。
樹林帯への延焼は避けるべく下草を調整します。 片面は焼き終わりました。
樹林帯を挟んで反対側も火入れが行はれました。 焼け跡のタチスミレの新芽
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