スミレの栽培ポイント


 すみれを鉢栽培しようとすると以外と手こずります。園芸屋さんから花盛りの鉢を購入してきたが、夏前に茎葉が溶けてしまった。解説書通りの培養土に植えたのに、翌年には姿が見えない・・・こんな経験はありませんか? すみれの自生地観察を続けていると、昨年の場所から結構移動していたり、姿が見えなかったり。すみれも他の山野草と同じく、自分で移動は出来ません。移動しているように見えるのは新しい芽が其処に定着したからであり、姿が見えないのは寿命で消えてしまったのですね。すみれは多年草とは云っても2〜4年しか持ちません。それで毎年更新するのです。
 すみれの栽培に於いて株の更新は非常に重要であり欠かせないものです。そのためには種子播きによって苗を育てるのが一番よいとされています。なお、種子のできない品種を存続させるために、根伏せや茎挿し、葉挿し等の方法で苗の増殖が行われます。


● 実生苗
すみれ類は春に咲く花には種子がつきにくく、花後夏から秋にかけて出てくる閉鎖花(果実を結ぶためだけの花)に種子を結ぶ性質があります。その種子を採種し播種しますが、採り播きは発芽しやすいので、特に勧められています(種によっては冬の寒さに遭わないと発芽しないのもある)
◆ 種子の採取と保存 
種子は、成熟すると上向きになり、莢が乾燥して開裂し、その勢いで種子が飛び散るしくみになっているので、莢が上向きのときに採取し、紙袋等に入れておけば袋の中で莢が裂開して種子が採れます。
採り播きの場合は、成熟前のもの(莢が横向きから上向きまでのもので実は白っぽい)が発芽しやすい。
保管するときや、特に大切なスミレは、成熟させた方が良い(実が黒っぽい)そのうえ、よく乾燥させ、品種ごとに古封筒などに入れ、冷蔵庫(野菜室)に保管する。
完全成熟結実を採種するには、莢の上からセロハンテープをゆるく巻き、端をよく押さえておくと良い(裂開してから採取)
◆ 種子を播く時期
● 山野草は、採ったらすぐ播く採り播きが基本です。ところが、全部播いてしまった場合、夏の間に病気や水切れで全滅の恐れが危惧されます。それで半分くらいは上記のように冷蔵庫などに保管しておきます。
● すみれは秋の閉鎖花でも盛んに実を結びます。それらも採取し上記の方法で保管しておき、翌春の2月中旬から遅くとも3月上旬までに、播き床を用意して播きます。
◆ 播き床
播き床は、あとの管理を考えるとポリポットが使いやすいようです。用土は清潔で肥料分の少ない硬質鹿沼土などの小粒や山砂、川砂などが適しています(用土は全国各地それぞれで手に入りやすい土を使ってください。親株と同じ用度でも良いのですが、やや水持ちを良くします。)
まずポットに入れた硬質鹿沼土の汚れが鉢底から出なくなるまで、水を浸したポリバケツなどにポットを8分目まで沈め、上下に揺すります。これを数回繰り返し、最後に鉢上から潅水し播き床の用土を落ち着かせます。
種子を指でつまんで平均に播く(2号鉢で10粒くらい。混み合うと生育が悪い)上から用土はかけなくて良い。
播き終わったら種子を落ち着かせるため潅水しますが、普通に潅水しますと、均一に播いた種子が流れてしまいます。それでポットを水に浸して底から水を吸わせます。
◆ その後の管理
播き床は、発芽するまで乾燥しないように、用土の乾き具合を目安に鉢底から吸水させる。乾かなければそのままで、無理して灌水の必要はない。
発芽までの間はポットの上から新聞紙を2枚ほど掛け、発芽が確認されたら新聞紙を取り除く。
発芽して少し大きくなるまでは、明るい日陰に置きます。
発芽後本葉が2〜3枚になったら、3本位ずつ植込み用土で鉢(2号ポット)に植え替え肥培してやります。
植え替え時に、根先をチョッコと切り詰めると、新しい根が出やすい。
シハイやフモトなど植え替えに弱い種は、最初から育成用土に播種し、苗を間引いて育てる。
◎ 留意事項
・ 用土や水苔などは出来るだけ新しい清潔なものを使用し、必ず微塵を抜いたものを用いる。
・ 最も注意すべきことは、絶対に水切れさせない事です。用土の表面が乾燥すると、幼苗が全滅します。
● 根伏せ
殆どの種に有効です。特に、交配種は不稔のため根伏せによる更新は欠かせません。
根は太く新鮮なものを使う。細いと活着が悪い。
3〜4cm程度に切る。
根の上下を間違えないように!!
根の上部は陽に当たるようにする。
水を切らさない(1cm位の腰水すると良い)
● 茎挿し
※ タチツボスミレなどの有茎種に有効です。
● 2節隔で切る。
● 下節の下部茎は長めにする(用土の中となる箇所)
● 水は切らさない。
● 匍匐枝を寝かせて用土を被せる。その後、各節から根が出てから分けても良い(安全策)
※ その他に株分け(大株に有効)葉挿しなどがあるが、あまり一般的ではないため省きます。
● 植え替え

 植替えの主眼は、古い根を切って刺激を与えることにより、新しい根を出させたり、新しい土に植え替えることにより株全体の活性化を図ることにあります。1年間、癒してくれたスミレに感謝を込め、植え替えてあげましょう。
 植替えは、早春の芽が動き出す前、花後から入梅前、残暑が消えて涼しくなった初秋の3回が適しています。それぞれに一長一短あり、すみれの根は傷みやすく、なかなか回復しませんが、花後は旺盛な成長期に当たり、多少の荒療治にも耐え、思い切った切込みが可能です。また植替えに当たっては、そのすみれの性質、個々の生育環境などに応じた処置が必要となります。

■ 性質が強く、栽培の容易な ミヤマスミレ節のすみれとその交配種
株を鉢(ポット)から抜いたら用土を全部振るい落とします。枯れ葉や黒く腐った根は、取り除きます。
主根を鉢の半分に合わせて切り詰める。長く伸びた根や細根は、鉢に広げたときの内径に合わせて切り取ります。
鉢底まで根が張って簡単に外れないものは、鉢穴から棒などでトントンと押してやります。茎や葉を握って無理やりに引っ張って抜く様なことはしてはいけません。
調子の悪い勢いの弱い株は、そのまま放置しておくと根腐れなどで枯れてしまいます。このような時は真夏であれ寒い冬であれ、応急に植え替えることが慣用です。本格的な植え替えは時期を待ちます。
■ タチツボスミレの仲間
● 根が細く塊状となってついているので、黒く腐った部分や余分の根を掻き取る程度とする。ヒゲ根は丁寧に扱い切り取らない(ヒゲ根とは真新しい白い根の事)折れやすいので気を付ける。
● 根を水洗いするとお互いにくっついてしまい、植え付けが困難になります。古い用土は指ではじくなどして落とします。
● 植え替えに用いる鉢は、一回り大きな鉢を使い、5mm以上の用土を回りに梳き込みます。
■ 性質が弱く、栽培の難しい シハイ、フモト、サクラ、フジ、スミレサイシンなど
● 古い用土や腐った根を軽く取り除くだけで、一回り大きな鉢に植え替えた方が良い。
● キスミレ節同様、毎年種子播きによる更新を心がける。1年草と同じ管理にする。
● ゲンジスミレなどは、根を乾かすと枯れてしまうので注意する。
● 育成中、茎葉が腐ってしまっても慌てずに、早ければ根は生きていることが多いので、根伏せで復活できる。
■ キスミレの仲間
根伏せによる更新は期待できないため、種子による更新を心がける。
植え替えは、地上部が枯れる休眠期に行う(11月〜2月)
用土は山砂混合を主体とし、腐葉土は用いない。
鉢の底に細粒を、上部に粗い粒を使う。通常の植え込みと逆の配置をする。この場合、最上部は水を吸わない砂利砂を用いるのがポイント。
底穴はネット網ではなく、スポンジに付いているアルミナ粒子研磨やウレタンの粗粒を使う。
※栽培の難しい種に用いると効果があります。
■ 南西諸島・渓流スミレの仲間
根に用土を被せない。根は横に這わせ、這い苔などで包む。
スミレを育てるのではなく、コケを育てる。

食器の水切りザルを利用した培養地

 2段になっている下の水受けに水を入れておけば湿度が保てます。また蓋をズラして湿度の調整も出来る優れものです。
 渓流スミレは1年中この中で過ごします。
火山岩を砕いて4〜5個に分け、皿などの上で中を空洞にした石鉢を作ります。岩と岩はケト土で土手を作りつなぎます。ケトは流れないようにハイゴケで覆います。
 空洞の場所に混合山砂(5〜10mm)を8分目まで入れ、ハイゴケを敷きます。ハイゴケの上にイシガキスミレやオリズルスミレの根を広げ置きます。その根の覆い被せるようにハイゴケを敷いて完成です。

★新たに「プラ洋服整理箱」を培養地に加えました。こちらの方が、より多くのすみれ達を管理できます。
小苗は個単位でジッパー付きポリ袋にスッポリ入れて培養できます。入口をすぼめて湿度調整します。
◎ 留意事項
● 新しい根は、地下茎の基部から出るので、この部分が露出しないよう、植込みは少し深めとする。
● 地上部の葉や茎は、根の切込みの程度に見合うよう、切り詰めておく。
● タチツボスミレの仲間の地上部は、切り取ると再生しにくいので、余り切り取らない方が良い。
● 植替え作業は、強い日差の当たる場所は避け、鉢から取り出した株は手早く処理する。
  植込みをする前に一時バケツの水に浸ける配慮が望ましい。
◆ 植替え後の管理 
 植え替えた株は、バケツに張った水に鉢ごと浸けて取り出す方法で、用土の濁りを取り、株をなじませる。鉢底から出る水に濁りがなくなるまでこれを繰り返す。
 以後、1週間くらいは木漏れ日程度の日陰に置き、施肥は控えます。また、それぞれの特性や生活環境を考慮し、日照を好むものは日向へ、好まないものは日陰か半日陰の棚へ出す。
● 管理の概要
1 鉢 先ず通気性のよい鉢を使うことを心がけます。すみれは野に咲く小さな花・・・園芸種のように大株に作っては野趣味が損なわれます。中株は3号鉢、小株は2〜2.5号に2〜3本寄せて植え、できるだけ自然に近づけましょう。
2 用土 植込み用の土は、桐生砂、日向砂、蝦夷砂、日光砂などの等量混合を基本とし、これに種類によって焼赤玉土等を適宜混合して使用する。これらの砂は、いずれも大粒(10mm以上)中粒(5〜10mm)小粒(3〜5mm)に分けて、篩にかけ微塵を抜き、用土は常に湿り気のある状態で保管して置きます。
ただし、何れの用土を使用するにしても鉢底には10mm以上の大粒を約20mm程入れ、目潰しに中粒を使い、その上に培養土(3〜5mm)を使って植え込むことが基本。 
3 潅水 鉢内の古い空気を入れ替える気持ちで、鉢底から水が流れ出てくるまでタップリ与えます。 そのタップリが解らない場合は3号鉢で3秒くらい、5号鉢で5秒くらいと覚えてください。
湿地性のスミレのように水分を好む種類については、プラ鉢などを加工して、腰水で育てると良い結果が得られます。 
4 日照 一般に日当たりは午前中2時間程、陽に当てれば良い。東側が開口され、南側と西側に隣家があれば最高。個々の生育環境に合わせる。
5 環境 風通しが良く、出来れば雨の掛からない作棚で管理できれば最高。
6 施肥 ◆ハイポネックス等の液肥を極薄めて与えますが…モフミンR液にハイポネックス液を3000倍希釈で混合しハンドスプレー器に入れ、月4回すみれの株元に4〜5回噴霧してやります。真夏、冬、花期は与えません。 置き肥などの固形肥料は使いません。
夏場や冬場は月4回モフミンRだけをすみれの株元にプッシュと噴霧も良いですね。

7 殺虫
  殺菌
◆以前はアブラムシやヨトウムシなどの害虫にはマラソンなどの化学殺虫剤を使っていましたが、最近は自然環境にやさしい微生物を利用した殺虫剤を使用しています。ヨウトウムシやケムシはイチコロ・・・飛翔虫は全て対象になります。効果期間中はツマグロヒョウモン蝶など寄り付かないので淋しい気もしますが。。。産卵して幼虫になると害虫ですから止むをえません。。。飛来始めたら薬剤の効果が切れた証拠・・・散布して予防・退治します。ナメクジは捕殺が一番。そして鉢置き場の清潔、枯葉などは綺麗に処理しましょう。

◆病気予防も天然菌を利用した予防殺菌剤を利用。薬剤に弱い南方系のすみれ達に使用して効果を上げています。それでも病気が発生したら、そうか病等にはダイファーとダコニールの混合液を500倍に薄めて噴霧する。 一番厄介なのは葉ダニですね、発生する前の要望が一番です。最近はいろんな薬剤が出ていますので近場で購入できる薬剤を散布しましょう。

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